研究成果

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「健康への関心度による集団のグルーピングと特性把握ならびに健康無関心層への効果的な介入手法の確立」(平成 31 年度~令和 3 年度)での研究成果のまとめは以下です。

目 的

本研究は、健康寿命の延伸、疾病予防、健康増進を目的に、特に健康無関心層に対して効果的な介入を実施するため、(1)健康関心度に応じたグルーピングとその特性の把握、(2)健康への関心度の概念の整理と定義づけ、定量化指標(健康関心度尺度(仮称))の開発、(3)先行研究のレビューによる、健康無関心層を中心とした集団の特性に応じた具体的で効果的な介入手法の検討、(4)健康無関心層も含めた疾病予防・健康づくりの推進に向けた取組の提案することを目的とする。

方 法

各担当分野において、研究1=ナッジ理論の応用パイロット事業とポピュレーションアプローチの類型化、研究2=健康関心度尺度の開発に向けた研究、研究3=行動科学を応用して健康への関心度に関連する社会的属性に配慮して考案した職域保健プログラム「健診戦」の効果に関する研究、研究4=食生活関心度尺度の開発と食生活への関心が低い者の特徴、研究5=健康や禁煙への無関心とその喫煙や禁煙達成に与えた影響に関する研究、研究6=行動経済学を応用した体を動かす人を増やす研究、研究7=マルチメディアを用いる、健康関心度に応じた行動促進介入の探索に向けた研究を行った。

結 果

(1)研究1:複数の事業所にてナッジ理論の応用パイロット事業を実施した。健康への関心度により集団を3層に分け、それぞれのリスクの低下の程度により、ポピュレーションアプローチの4つの類型を提示した。

(2)研究2:3つの下位尺度からなる12項目の健康関心度尺の質問票を作成し、その妥当性と信頼性を検証した。さらに、英語版の作成を行った。

(3)研究3:健診戦参加者ほどBMI、体重、腹囲のプログラム前後で数値の改善がみられ、その効果は特定保健指導対象者ほど明確であり、改善度合いに職位による差はみられなかった。

(4)研究4:食行動に関する健康無(低)関心層は、男性、低年齢層などの属性のほかに、暮らし向きにゆとりがそれほどないこと者が多いことが示された。また、12項目、2つの下位尺度からなる食生活関心度尺度の信頼性・妥当性を確認した。さらに、男性, 未婚者, 暮らし向きにゆとりがない者では,コロナ禍において食生活への関心度が低下する者が多いことが示された。

(5)研究5では、男女ともに、関心度が低くなると喫煙者の割合が高くなる傾向を認めた。健康への関心度と禁煙への行動変容ステージの相関が認められた。禁煙関連キャンペーンへの曝露と翌年の禁煙達成については、禁煙支援書籍の読書経験にのみ有意な関連が見られた。

(6)研究6:対象者特性に応じた介入の検討は少なかったが、身体活動促進に寄与する可能性のあるナッジを特定した。開発した新規プログラムは、無関心層にも一定の効果が認められた。

(7)研究7:マスメディアキャンペーンを用いた健康促進介入研究の論文のレビューから、ヘルスリテラシーに制限のある集団に対しては、テレビやラジオなどの伝統的なメディアでの取り組みがあった一方、スマホなどの情報通信機器に習慣的にアクセスする集団へはTwitterなどのソーシャルメディアを用いた取り組みが報告されていた。また、インターネット質問紙調査の結果、低関心度・高習慣の群には定期健診やがん検診の未受診者が多かった。これらの結果をもとに、「低関心度・高習慣群」及び「高関心度・低習慣群」を対象としたマルチメディアキャンペーンをデザインした。

考 察

健康無関心度の尺度の開発を行うとともに、健康無関心層の類型化の案を提示し、アプローチ方法を検討した。同時に、喫煙・禁煙、食事、保健指導、身体活動・運動、減量の個別な生活習慣について、健康無関心の観点から、具体的な介入方法を検討し、パイロット事業を実施することができた。論文や研修会等を通じて、研究成果を広く普及啓発することができた。

 

研究成果の詳細は、「厚生労働科学研究成果データベース」より閲覧可能です。

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